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高柳君はぽつぽつ歩き出した。若夫婦は遥はるかあなたに遮さえぎられていっしょにはなれぬ。芝生しばふの真中に長い天幕テントを張る。中を覗のぞいて見たら、暗い所に大きな菊の鉢はちがならべてある。今頃こんな菊がまだあるかと思う。白い長い花弁が中心から四方へ数百片延び尽して、延び尽した端はじからまた随意に反そり返りつつ、あらん限りの狂態を演じているのがある。背筋せすじの通った黄な片ひらが中へ中へと抱き合って、真中に大切なものを守護するごとく、こんもりと丸くなったのもある。松の鉢も見える。玻璃盤はりばんに堆うずたかく林檎りんごを盛ったのが、白い卓布たくふの上に鮮あざやかに映る。林檎の頬が、暗きうちにも光っている。蜜柑を盛った大皿もある。傍そばでけらけらと笑う声がする。驚ろいて振り向くと、しるくはっとを被かぶった二人の若い男が、二人共相好そうごうを崩くずしている。
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