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初春とは言いながら、寒い黄ばんだ朝日が車窓の硝子ガラスに射し入った。窓の外は、枯々な木立もさびしく、野にある人の影もなく、ひっそりとして雪の白く残った谷々、石垣の間の桑畠くわばたけ、茶色な櫟くぬぎの枯葉なぞが、私の眼に映った。車中にも数えるほどしか乗客がない。隅すみのところには古い帽子を冠り、古い外套がいとうを身に纏まとい赤い毛布ケットを敷いて、まだ十二月らしい顔付しながら、さびしそうに居眠りする鉄道員もあった。こうした汽車の中で日を送っている人達のことも思いやられた。(この山の上の単調な鉄道生活に堪たえ得るものは、実際は越後人ばかりであるとか)
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