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尚此(ち)と(か)を備へた同種の民譚の中、一番形式の単純なと思はれるのは、浄見原天皇の流離譚であらう。天皇は吉野を出て宇治の奥、田原ノ里で、里人の情の※(「火+畏」、第3水準1-87-57)ヤき栗・ゆで栗を傍カタ山の岨そへに埋めて、わが身栄ゆるものならば、此栗生え出る様に、とうけひ給うたら、栗が生え出した。朝廷へ献る田原の栗は、即其なごりで、其時の痕が微かに残つて居る。天皇は其から志摩に出、美濃に奔られて、墨股スノマタ川で、不破明神の化身なる布洗ひ女に救はれ給うた(宇治拾遺)。
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