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帰りの坂道で五十里いそり幸太郎さんに遇あう。この涼しいのに尻からげ。セルの着物に角帯。私は下宿にもどる気もしないので、動坂へ出て、千駄木町の方へ歩く。涼やかな往来を楽隊が行く。逢初あいぞめから一高の方へ抜けてみる。帝大の銀杏いちょうが金色をしている。燕楽軒の横から曲ってみる。菊富士ホテルと云う所を探す。宇野浩二と云うひとが長らく泊っている由なり。小説家は詩人のようでないから一寸ちょっと怖ろしい。鬼のような事を云いだされてはこっちが怖い。そのくせ何となく逢ってみたい気もする。
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