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いったい御用係心得を拝命してから、彼はずっと多忙が続いてきた。役目は側用人の副秘書のようなものだが、どういうわけか側用人の代理のように使われ、藩主との応接も多くのばあい彼が当らされた。そのときの側用人は矢橋隼人はやとといい、たいへんな酒豪で、家でも役所でも酒を側から離さない。いつも飲んで、赭あかい顔をして、そうして坐って居眠りをしていた。……役所では机の前に坐って姿勢をきちんとして、眼をちゃんとあいたまま眠るのである。しばしば藩主の前でもそうやって眠る。
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